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とおる 櫻井

【コラム】融資時の経営者保証を制限へ見直し。チャレンジ土台の社会を

●「経営者保証」制限、起業促す 中小向け融資を見直し 金融機関に説明義務、来年から(日経 2022年11月2日 2:00)


このニュース、日経紙面ではあまり大きく取り上げられていなかったが、国が起業を推進する上で、非常にインパクトがある見直しではないだろうか。


銀行等からの融資の際に必要な経営者債務保証という商慣行は、結構前から、日本独自の(あるいは、日本で顕著な)悪弊であり、このせいで起業しようとする人が増えないのだ、という声は多かった。

さらに言えば、生命保険を抱き合わせた債務保証が中小企業オーナーの自殺件数を増やしている、という物騒な声すらよく聞いた。


最近はリーン・スタートアップが流行っていて起業時から大きな金額の借り入れが必要なケースは少ないと思われるし、そもそもスタートアップ時は原則自己資金と身内からの借り入れまでで、第三者の金融機関等に巨額な借り入れをするのはあまり好ましくないとは思う。


それでも、これまでの商慣行に対しては、個人的に、あまりにも金融機関を守りすぎ、チャレンジする起業家に責任を負わせすぎ、と感じていた。

「日本は結局、企業や組織を重んじ、チャレンジする人を軽んじる社会なのだな」

というシニカルな思いを抱いたりもした。


この日経記事にある「経営者保証」を制限しようという流れについては、ウェブ上でざっと反応を探ったところ、おおむね好意的に受け止められているように思う。

起業のみならず、事業承継の際にも旧経営者の個人保証を受け継がずに済むなら、次世代への承継や新たな第三者経営者に会社を譲り渡す積極的なM&Aも増えてくるだろう、と予測する人もいるようだ。


現在、日本政府が旗を振る「起業推進」、「サラリーマンの副業・独立」、M&Aも活用した「事業承継促進」、あるいは「リスキリング」等々の政策は、個人的に正しい方向性だと感じている。

日本は人も組織も、もっともっと新陳代謝が必要なのだと思う。


そのためには、「人間、いつまでもチャレンジ」というコンセンサスが社会全体にあることが必要で、そういった精神的な部分の底上げがあって、日本再生につながるのではないだろうか。

このフィナンシャル・パーソンのHPも、そういった意識の底上げに微弱ながら寄与できたら、と思う。



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